明るく爽やかに

 昨日の興奮がまだ冷めませんね。日本中がお祭り騒ぎです。
 それもそのはず。今日、選手たちが帰国してきました。


 早速テレビなどに出演して大忙しのようです。
 しかし、そんな選手たちに、私は一つ不満があります。
 それはインタビューです。聞いていると、皆一様にボソボソと喋っているんです。何だか試合後の興奮も冷めてしまいます。もっとハキハキ明るく爽やかに答えて欲しいのです。
 理想はゴン中山選手。あんな明るくて楽しいインタビューが聞きたいです。


 オレだったらこう受け答えするのになぁ…。オレだったらこう返すのに…。オレだったら爽やかに…。オレだったら…。オレだったら…。
 いつもこんなコトを考えています。…えぇ、虚しいです。


「今日、見事ハットトリックを決めた海人選手です!」
「どーもー! いや〜、今日は自分で言うのも何ですが、絶好調でしたよ!」
「今日の1点目のゴールは素晴しかったですねー!」
「はい、全て計算通りにプレー出来ました!」
「小笠原選手からのスルーパスがキッカケでしたね。それをダイレクトに股間で受け、うずくまったところでヘディングシュート! 流れるプレーでした!」
「練習の成果ですよ! 2点目なんかは、まさにそうですね」
「あぁ、あのコーナーキックからのセットプレーですね!?」
「そうです。ジーコ監督の作戦通りです」
「皆がニアサイドに流れて、ファーサイドの海人選手をフリーにする作戦ですね?」
「そうです!」
「もう俊輔選手がコーナーを蹴った時には、海人選手の周りには敵が誰もいない状態でしたからね。後は上がったボールを冷静に股間で受け、そのままゴールと」
「余裕すぎて、トラップだけでゴールしちゃいましたよ」
「あと忘れていはいけないのは3点目! あの抜け出しは見事でしたね〜」
「ありがとうございます!」
オフサイドギリギリで飛び出し、キーパーと1vs1。あざ笑うかのようにキーパーの目の前で方向転換。あとは無人のゴールへシュート!」
「あれは気持ち良かったですよ〜」
「キーパーが悔しがっていましたね〜。地面をしきりに蹴とばしていました。その蹴った足が、海人選手の股間にめり込んだのには驚きましたが」
「全て応援してくれた皆さんのおかげです! 皆ありがとう! どうもありがとうーー!」
「海人選手でした」


 こんな風に明るく爽やかに。