ウチの車は平凡です。形は特徴のない普通の乗用車で、色はシルバー。どこにでもあります。日が沈むと他の車と見分けがつきません。車に詳しくない者なら尚更分かりません。


 今日は車でスーパーへ行きました。普段は自転車なのに、車で行ってしまったのが運の尽きでした。
 買い物を終え、荷物を乗せようと車のドアに手をかけました。この時、「あれ? こんな取っ手だったかなぁ?」と思ったんです。でもそれ以上深く考えませんでした。ドアをガチャガチャッ。…開きません。キーのボタンを押してロックを解除。ガチャガチャッ。やっぱり開きません。
 ふと顔を上げると、車の中に見知らぬおじさんが…。
「………」
「………」
 見つめ合う二人。
 あっ!
 初めてそこで、車を間違えたことに気が付きました。
(ギャーーーー、ハズカシィーーー!)
 ウチの車は隣にありました。
 愛想笑いの二人。
 あは、ははははは…。


 今日は涙で枕を濡らします。泣かせて下さい。