葬儀も無事に終わり、ようやく一息ついている。
「おーい、おーい」
 父が呼んでいる。
「どうしたの?」
「お香典を数えてみたんだけど、4万円足りない」
 私は受付を担当しており、香典は私が全て預かっていた。記入漏れも無かったし、お金は全てかばんに保管していたはず。
「もしかして5,000円と書く所、50,000円と書いちゃったのかな」
「いや、確認したけど合っているはずだ」
「もう一度見てみよう」
 私たちは香典袋に書かれた金額と、帳簿に書いた金額を丁寧に確認していった。合っている。かばんの中も見たが残っている物は何も無い。
「お通夜の前にもらったやつあったじゃん。あれじゃないの?」
「いや、かばんの中に入れたはず。お香典の袋も入っていたし」
「お金だけ抜いて別の所に保管したんじゃない?」
「いや〜……」
 私は一応自分の部屋を探してみた。が、やはり無い。どこに行ったのだろうか。父の部屋に戻ろうとしたその時、叫び声が聞こえた。
「あったー! あったー!」
 部屋に行くと、父は一通の茶封筒を握りしめていた。
「そうだそうだ。通夜の前にもらったお金を、ここに入れておいたんだった」
 茶封筒には、大きく太い文字でこう書かれてあった。


「重要」
「重要って書いてあるじゃん!」
「そうだよ。だから思い出したんだろう」
 う〜ん。