時計にハマって

　皆さんのハマったものは何ですか？
　私は時計でした。
　男はよく時計にハマると言いますが、私のはちょっと違います。…と思います。


　基本的に私はブランドものには興味がありません。ロレックスやオメガなどは「辛うじて聞いたことがある」程度です。というか時計事体、興味がありませんでした。
　そんな私が急に集めるようになったんです。一目惚れをしてしまったんです。


　その時計との出会いは、さくらももこ著の『世界あっちこっちめぐり』（集英社）という本でした。
　本の内容は、さくらももこ師匠が世界旅行を綴った痛快爆笑エッセイです。
　その中のパリ・オランダ編で、その時計はありました。
　写真を見た途端、「おぉっー！　コレは欲しいっ！！」と叫びました。物欲のない私には珍しいことです。
　ももこ師匠もその時計が欲しくてパリに行っていたのです。


　時計のメーカーは「ピエール・ラニエ」と言います。地味なメーカーらしいので、知らない人が多いでしょう。
　そこで出ている（1デザインにつき）999本限定の腕時計が私を虜にさせたのです。
　その時計のデザインが素敵なのです。文字盤に石や貝で動物のデザインが施されていて、それが可愛らしく仕上がっているのです。


　ももこ師匠の力を持ってしても入手に苦労をしていたので、私なんかはもっと大変でした。
　時計欲しさにパリに行く。そんなお金はありません。貧乏人は国内で探すしかないのです。
　一年ぐらいあちこち探しました。しかし見付かりません。
　諦めかけていたある日、新しく出来たビルの、お洒落な時計屋さんの前を通りました。目を疑いました。ピエール・ラニエの時計が何本も並んでいるではありませんか！　感激でした！
　すぐに3本購入しました。
　家に帰って、間近で見て、また感激しました。きれいです…。はぁ〜。
　箱の中を見てみると、そのシリーズのカタログが入っていました。


　そうか！　メーカーに直接注文すれば良かったんだ！


　そんな発見をかき消して、早速気に入ったデザインを注文しました。
　そんなこんなでまぁまぁ集まってきたのですが、その後良いデザインが出ず、そのまま収集の熱は冷めてしまいました。


　今日、たまたま奥の棚から見付けて、そんな大学時代を思い出しました。



　※お気に入りの5本です。