心の眼で…

 パソコンをよく見ているせいか、いつも目が疲れています。ここ数年でかなり視力が落ちたのではないでしょうか。
 これではいかん、と思っていた矢先、本屋で「目が良くなる」という文字を見かけ、手にとってみました。それは、3Dの本でした。懐かしいです。
 3Dとは、一見モザイクのような絵の中から、立体的な絵が浮き出て見えるという摩訶不思議なモノです。


 3Dを初めて見たのは中学生の時でした。
 クラスの誰かがうちわを持ってきたんです。そのうちわに皆がわいわいと群がっていました。覗いてみると、うちわにテレビの砂あらしのような模様が描かれています。
 皆、「見えたー!」「え〜、見えないよ〜」「わかんねー!」などと盛り上がっております。
「なになに? 何がどうしたの? 何が見えないの?」
 すると、見えたという友人が興奮しながら私に説明してくれました。
「スゲーよ! 立体に見えるんだよ! 浮き出て見えるんだよ! こりゃスゴイよ!」
「○○くん、落ち着いて! さっぱり分かんないよ」
「あぁ、ごめん! 説明するよ。絵を見るでしょ? そしたら焦点をね…。う〜ん、分かりやすくいうと、絵の奥の方っていうのかな? とにかく絵を表面的に見ないで、向こうの方を見るんだ。そうすると、突然、立体的な絵が見えるんだ!」
「…う〜ん」
「まぁ見てみなって!」


 うちわが回ってきました。ありがたいことに、裏に説明が書かれてありました。


 2つの黒い点が絵の上にあるので、それが重なるように見て下さい。そしてそのままの状態で絵を見てましょう。立体的な絵が浮き出て見えます。
「…う〜ん」
 さっきの友人と同じくらい、言っていることが分かりません。
 立体的な絵が浮き出て見える? そんなバカな。昔、赤と青のメガネをつけると絵が浮き出て見えるというのがありましたが、あれと同じなんでしょうか? でもあれは、魔法のメガネ(赤と青のメガネ)があるからこそ、浮き出て見えるんです。そんなアイテムが無くて、見える訳がありませんよ。


 とりあえず説明の通りにやってみました。
「見えた?」「見えたでしょ?」「ほら、すごいよね!」
 周りのプレッシャーが私を襲います。「見えない」などと言えない雰囲気です。
 すると、何か見えた気がしました。
「あ!」
 私は声を上げました。
「船が見えたよ! 船が見えるんでしょ? これ」
「…いや、違うと思うよ。ワニが見えるはずだから…」
 シ〜ン
「…そ、そう。ワニか…。う〜ん、見えた気がしたのになぁ」
「いや、そんな曖昧なもんじゃなくて、ハッキリと見えるんだよ」
「そうなの?」
 全然信じられませんでした。
 結局クラスの中でも、見えたという人は10人程度でした。他は全員見えなかったですし、信じもしていませんでした。


 その何年か後、また3Dブームが来たようで、本屋にたくさん並んでいました。
 何気なく本を開いてみました。すると、またムラムラと挑戦したい気持ちが出てきました。
 5分ぐらいジィ〜ッと見ていますと、一瞬模様が動いたんです。あれ? と思っていると、何と! 立体的なボールが浮き出たんです!
 おぉぉぉぉぉぉ! これが3Dかぁーーーーーー!
 感動でした。なるほど、これは興奮しますね。友人のあの興奮も納得です。
「スゲーよ! 立体に見えるんだよ! 浮き出て見えるんだよ! こりゃスゴイよ!」
 誰かに言いたかったですもん。
 それから先は自転車と同じで、一度見えればもう何度でも見ることができました。面白いです。30分ぐらい次から次へと見ていました(買いませんでしたけど)。


 そして現在、また3Dブームが来ています。何故またブームが?
 それは、
「目が良くなる」
 ということが分かったかららしいです。
 焦点を調節することによって運動になるからなんですかね? とにかく視力が回復するそうです。


 まだ3Dを見たことがないという人、目が悪い人、挑戦してみてはいかがですか? 見えた時感動しますよ。かなりハッキリ見えますから。
 見えたらその感動、教えて下さいませ。皆でその感動を分かち合いましょう!


 あ、そうそう。3Dは、心のキレイな人にしか見えません。ご注意を。