散歩センチメンタル

 またハナコの散歩を頼まれました。
 疲れます。全盛期のように走らないまでも、今のハナコはひたすら歩く。1時間は軽く歩きます。
 色々な場所を歩けばこちらも楽しいのですが、一通り散歩コースを歩き切ると、ずっと同じ区域をグルグルグルグル歩くのです。つまらない…。


 散歩中は、よく他の散歩している人に出会います。皆けっこう飼っているんですね。
 すごいのは皆すぐにどこの犬かが分かるんです。
「あれ? ○○さんとこのハナコちゃんじゃない?」
「あ、そうです」
「やっぱりねー。息子さん?」
「いえ、隣の家の者です。頼まれたんです」
 1人だけじゃないです。何人もの人に言われました。ぶっちゃけ説明が面倒。


 その話しかけてきた人の中に、強烈な夫婦がいました。40〜50才くらいの一見普通の夫婦。
 よく犬って、お互いにお尻の匂いを嗅いだりしますよね。ハナコも嗅ぎたかったのか、その夫婦の犬に近づきした。しかし相手は嫌がります。するとおばさん、何を思ったのか自分の犬を捕まえて動けないように固定しました。そして、お尻をハナコの鼻っ先に持っていったのです。
 え〜〜!?
 ハナコも遠慮がちに匂いを嗅いでいましたが、明らかにおばさんの行動に引いていました。
 私もどん引き。


 ハナコは向きを変え、おじさんにじゃれようとします。しかしこのおじさんも変だった!
「ワシのお尻も嗅いで〜」と言うように、ハナコの鼻っ先でお尻をフリフリし始めたのです!


 おっちゃん、はしゃぎ過ぎっ!


 帰り道、異常にテンションが下がっていたハナコ
 分かるぜぃ。
 肌寒くなった秋の空、ちょっぴり切なくなった2人でした。