富士レポート2006(2)

「大きく息を吸い込んでみる」 レポート2


 8合目を出る前にちょっとトイレへ。
 皆さん、知っていましたか? 富士山ではトイレに入る時お金がいるんです。
 トイレ使用料 200円
 高っ! 100円くらいなら払っても良いかなと思うんですが、200円は高いわ〜。
 でもそれだけ管理するのにお金がかかるのでしょうね。仕方ないです…。世界遺産を目指して、この200円が役立ちますよ〜に。しくしく。


 さぁこれから去年の私達を超える旅に出ます。とりあえず目指すは本8合目。そのあと8合5勺。9合目。山頂と、まだまだ道のりは遠いです…。
 


 今回、人がかなり多かった印象を受けました。夏休み最後の土曜日ですからね。老若男女、たくさん登っていました。
 私達が休憩していると、30人くらいの団体が通り過ぎました。学生のようです。一人一人「こんにちはー」と挨拶をしていきます。
「こんにちはー」「こんにちはー」「こんにちはー」「こんにちはー」「こんにちはー」……
 挨拶は気持ち良いものです。30人全員にじゃなければね。
「大学生かな?」とみん氏と話していたら、引率の先生がお節介にも教えてくれました。専門学校の生徒だそうです。へー。


 休憩も終わり、再び登り始めます。少し経つと、がやがやと声が聞こえてきました。嫌な予感…。
 はい、さっきの専門学生が休憩していました。また「こんにちは」攻撃です。はいはい、どうもどうも。
 この団体のお陰でペースが乱れてしまいました。会うとまた「こんにちは」攻撃が待っているので、追い付かれないようにひたすら歩いたんです。休憩も取らずに。
 結果、疲労が限界にまで達し、その上追い付かれました。若いってすごい…。
 すぐ後ろまで迫ってきたので仕方がありません。道を譲りました。はいはい、こんにちはこんにちはこんにちは。
 その団体、ホントに元気なんですよ。だって歌を歌いながら登っているんですから。
 選曲は「世界に一つだけの花」「タッチ」などなど。
 ちゃんと歌ってくれれば良いのですが、その中に音痴とうろ覚えとヤケっぱちのヤツがいるので、疲れが倍増します。練習してこいやっ!


 本8合目の小屋。
 


 ヒーヒー言いながらようやく本8合目に到着。
 
 
 現在1:40。
 去年は2時に引き返しました。暗くなると大変ですから。
 みん氏がお店の人に聞きました。
「日没って何時ですか?」
「7時くらいですよ」
「山頂から引き返したら何時間くらいかかりますか?」
「3時間くらいですね」
 ほぅほぅ。ということは逆算すると4時まで登れるということじゃないですか。余裕を持たせても3:30まで登れそうです。
 問題は体力だけ。


 とりあえず登ります。様子を見ながら、地点ごとに確認しようということで。
 
 次は8合5勺。
 この地点は、名前の通り中途半端な地点でした。20分くらいで着いちゃいました。と言っても余裕だったわけではありません。すでに8合目から気力だけで登っているのですから。そこの所を忘れないで下さい。
 
 8合5勺で休憩していると、おばちゃん2人がお店の人に聞いていました。
「あの、富士宮口(ふじのみやぐち)はどこから降りれば良いんですか?」
 富士山には色々なコースがあります。※私達は須走口(すばしりぐち)というコースでした。
 帰りも行きと同じコースの下山道を通るのが常識です。だって、そのゴールに車を置いているんですから。他の所だと全然違う所に出てしまいます。
 なのでおばちゃん達も心配で聞いたのでしょう。
富士宮口(ふじのみやぐち)はどこから降りれば良いんですか?」
 するとお店の人が言いました。
富士宮口でしたら、一度山頂に登って頂かないと行けないですね」
「うそぉ〜ん!」
 おばちゃん達、ものすごいショックを受けています。理由はこちら。
「私達、今山頂から降りてきたんですけれど……」
 え〜〜〜〜〜〜!?
 たぶんその場にいた全員が心の中で叫んでいたと思います。可哀想すぎます。
 その後のことは分かりません。先に出発してしまったので。おばちゃん達、どうしたのでしょう。やっぱりもう一度登ったんですかね…。
 ドンマイとしか言えません。頑張れおばちゃん達。


 さぁ、人のことを心配している場合ではありません。そろそろ体力がスッカラカンになります。休憩しても戻らないほどヘバってきています。
 そして寒い! かなり気温が低くなっています。そして、去年と同じく頭痛まで…。風邪ですね。まぁ登る前から風邪はひいていたんですけど。頭痛までしてきたのでヤバい兆候です。みん氏も同じ症状が出ています。
 とりあえず2人で頭痛薬を飲みました。そしてついに出ました、このワード。
「次で下山するか……」
 次は9合目。去年より記録更新できましたし、良いんではないでしょうか。
「そうするか」
 私も承諾。だって、もう無理ですもん。
 何言ってんだよ! 9合目まで登るんだったらあと少しだろう。山頂まで登っちゃえよ! と言う人がいるかもしれません。しかしそんな「勢いで登っちゃえ」みたいなノリでは済まない所まで来ているんです。
「自分で限界を作るな!」とか「あとは精神力だろ!」とかそんな次元の話ではないんです。「嫌だ嫌だ! 帰りたーい!」、こういう次元の話をしているんです。
 ですから私達は9合目で下山します! 止めないで下さい。


 次回! 幻となった9合目。外人転ぶ。
 お楽しみに。