顔が命

 買い物しようと町まで出掛けたら、選挙ポスターが貼ってありました。政治家がこちらを見てにこやかに笑っております。
 政治家は顔が命。少しでも印象良く、爽やかでなければなりません。しかしそのポスターの男は、爽やかとは程遠い顔でした。それどころか非常に気持ち悪い顔。ムカっ腹が立ちます。何だコイツは! 頼りなさそうな顔しやがって!
 側にいた父に教えると、「こいつにだけは入れたくないな」と、私と同じ意見を吐きました。
 可哀想ですが落選確実です。どんなに良い政策を掲げても、その笑顔では無理でしょう。
 そんな人のキャッチコピーに私達は驚きました。


「達成する男」


 え? その顔で!?


 別に恨みがあるというわけではないのですが…。さすがに政治家にはあり得ない、非常に頼りなさそうな顔だったんですよ。
「もっと良い写真を使えば良いのに、これを選んじゃったかぁ」と、写真を選んだ人にまでダメ出しをしたくなりました。いや、あの顔ですから人望は無いはずです。自分で撮って、自分でポスターを作った可能性があります。一枚一枚一所懸命コピーして、貼り回って。「気持ち悪い笑顔!」「ムカっ腹が立つ!」などと罵られながらも各地を歩き回って…。
 …何だか応援してあげたくなりました。よし、投票してあげましょう。たとえ当選しなくても、一票でも入れば嬉しいじゃないですか。うんうん。


 あ…、名前見てませんでした。
 すまん、次頑張れ!