前沢牛が家に来た

 昨日家に、高級な霜降りの前沢牛が届いた。香典のお返しらしい。もう、一目見ただけで美味しいと分かる。それほどまでの霜降り。量も1回分には多かったので、明日と2回に分けて食べる事になった。
 鉄板に置くと、ジューと良い音が鳴る。私たちのお腹も鳴る。焼くのなんか軽くで良い。待ちきれずに塩を付けて頬張った。


 うわっ、何コレッ! とろけるんですけどー! 美味しすぎるんですけどー!


 安楽亭常連の私が絶賛する。これは美味い。桁違いだ。
 焼肉のタレ、柚子胡椒など、味を変えながら食す。至福の時。これが明日も続くなんて…。


 そして今日の夕食。おかずはもちろんあの前沢牛だ。ウキウキで台所へ行った。それと同時に父が会社から帰って来た。
「あ、待て。今日はお父さんが焼くから」
 何か嫌な予感。
 トントントントントン。突然父はタマネギを切り出した。フライパンで炒める。そこへ、ああっ! 前沢牛を放り込んだ! 一枚残らず! そして次に取り出したのは、味ポンだー! ドボドボドボ。絡めたー!
「はい、できあがり」


 ん〜、庶民の味。